2026.07.28

「矢作川水源の森」の15年後を描くビジョン誕生

根羽村・安城市が共同で行う森づくりのビジョン「SATOYAMA CONCEPT MAPs」を策定

長野県根羽村と愛知県安城市は、両市村が共同で管理する「矢作川水源の森」(根羽村)において、2040年を見据えた15年後のビジョン「SATOYAMA CONCEPT MAPs」を株式会社やまとわの協力を得て策定しました。ヒノキ人工林を針広混交林へと転換し、上下流の住民・企業・研究機関が連携する「源流の学び場」として整備を進めます。本ビジョンに共感する市民・団体・企業へ参加を広く呼びかけます。

背景と経緯

矢作川水源の森は、矢作川の源流域である長野県と愛知県の県境・茶臼山の近くに位置しています。矢作川は本流延長118km・流域面積1,830km²にわたり、三河地域を中心とした多くの住民の飲料水・農業用水・工業用水を担う一級河川です。

この森では過去植えたヒノキなどが大きく育ち、伐採が計画されましたが、伐採により山の崩落の危険性や景観破壊等を心配されました。そこで、この森を守るために根羽村と安城市が協力し、立木取得費などを負担する形で「森林整備協定(分収育林)」を締結しました。

令和4年(2022年)には協定を「矢作川水源の森環境育林協定」に更新。主伐を行わず、針広混交林への転換・上下流交流・森林学習を柱とした新たなステージへ移行しました。今回策定したビジョンは、この環境育林協定のもとで水源の森の今後15年の方向性を定めるものです。

「SATOYAMA CONCEPT MAPs」の概要

「源流」をキーワードに立地環境調査をもとに、水源の森を6つのエリアに区分しました。各エリアで15年後の森の姿とそこに集う人・生き物が描かれており、それを親しみやすいイラストにして分かりやすくしたものが「SATOYAMA CONCEPT MAPs」です。

集い考える森

人工針葉樹林から針広混交林化への転換を流域住民参加で進める。「なぜ針広混交林にするのか?」という問いが生まれ、水・森・自分との向き合う時間が生まれる入口エリア。

源流林業の森

根羽村の「源流域の林業」を体験・学習できるエリア。林道近くの緩傾斜でふかふかした土壌と伐る木を見つめる。水源と林業と自分の生活の関係を考える場。

渓流の森

四季の移ろいと湧水・せせらぎを五感で体感するエリア。「なぜ針広混交林にするのか?」と「源流で行う林業とは?」、2つの問いをつなぐ渓畔林の遊歩道。

創る森 -光の差し込むヒノキ林-

間伐で林内の日照環境を改善し、低木広葉樹の階層構造を生むエリア。水源涵養力の向上と光環境の改善で林床温度を上げ、ネバタゴガエルの良好な繁殖環境を目指す。

創る森 -針広混交林-

集い考える森で培った針広混交林化の研究成果を実践するエリア。その技術を他地域へ展開するための技術継承の役割も担う。

創る森 -小さく変化するヒノキ林-

馬搬・牛搬・現場製材など自然に樹木が倒れて生じる空間の規模に近いスピードで整備するエリア。水源涵養に配慮した源流としての森との向き合い方を体現する。

連携体制と今後の展開

ビジョンの実現は、以下の主体が連携して推進します。

  • 長野県根羽村・愛知県安城市 ─ 環境育林協定に基づく共同管理の継続
  • 信州大学農学部 ─ 針広混交林誘導技術の研究・技術支援
  • 根羽村森林組合 ─ 森林整備・施業実施
  • 株式会社やまとわ ─ 調査・計画立案・ビジョン可視化支援
  • 流域住民・市民・企業 ─ 植樹参加・森林体験・SDGsへの貢献

今後は針広混交林化に向けた伐採と広葉樹植樹、新規作業道(林地保全型・尾根筋)の敷設、渓流沿い遊歩道の整備拡充などを段階的に実施します。あわせて安城市の子どもたちを対象とした自然体験等を継続し、上下流をつなぐ交流・学習の機会を拡充していきます。

市民・企業の皆さまへ

水源の森は、矢作川流域約200万人の暮らしを支える水を育む森です。伐採を延期し守り続けてきたこの森を、次の世代に美しい姿で引き継ぐために、上流・下流を問わず多くの方のご参加をお待ちしています。

参加できる活動の例

  • 植樹・造林体験
  • 森林学習ツアー・渓流体験(家族・学校・企業研修)
  • 企業・団体の協賛・協力(SDGs・水資源保全への貢献)

水源の森 基本データ

所在地
長野県下伊那郡根羽村3370番地52他(茶臼山周辺)
面積
47.82ha(環境育林協定47.15haを含む)
林種
ヒノキ人工林(昭和8年植栽)→ 針広混交林化を目指し活動中
年間降水量
約2500mm~4000mm(茶臼山地点)
協定の歴史
昭和8年 官公造林によりヒノキを植林
平成3年〜令和3年 矢作川水源の森分収育林契約
令和4年〜 「矢作川水源の森」環境育林協定