2025.11.29
地域と連携する企業研修――根羽村の木材で遊びを創造し、共創で育んだ矢作建設と村民・子どもたちの絆

2025年11月20日、長野県根羽村の山村広場にて「杉っこ祭り」が開催されました。このイベントは、愛知県に本社を置く矢作建設工業株式会社(以下矢作建設)及びグループ会社の新入社員研修の一環として行われました。
前日の11月19日から、新入社員と人事担当者など約90名が一泊二日で根羽村を訪問し、村の木材を使って子ども向けの遊び道具を企画・製作しました。20日の「杉っこ祭り」で、完成した遊具を根羽の子ども達に実際に遊んでもらいました。
矢作建設はこれまでも根羽村で研修を実施していましたが、2024年に人事担当になった笠井さんが「村のニーズに応え、村民と関わりたい」と発案。一般社団法人ねばのもりの杉山さんと協力し、地域と繋がる実践的な研修の形を実現しました。
大杉公園整備が育む根羽村とのつながり

11月19日昼、新入社員が根羽村の大杉公園に集合しました。
樹齢約1800年とされる月瀬の大杉を中心とするこの公園は、地域住民による「大杉魅力づくり検討委員会(現・大杉魅力づくり実行委員会)」が整備してきました。
矢作建設と根羽村の関係は、2023年に矢作建設から「社名の由来となる矢作川の源流のある根羽村で環境整備事業を行いたい」という相談が村へあったことに始まり、そこから両者が協力して大杉公園の整備を進めていくことになりました。
具体的な活動として、2024年10月には矢作建設の社員と村民合わせて約40名が公園内遊歩道に獣害防護柵(ワイヤーメッシュ)の設置を行い、さらに今年の11月8日(土)には約60名でサクラ・モミジなどの植樹を実施しました。
新入社員たちは、これまでの経緯を聞いた上で遊歩道を登り、頂上からの景色を楽しみました。
地元の素材と出会い、遊びを創造する

午後からは山村広場で遊び道具の製作を開始しました。参加者は全15班に分かれ、積み木、クリスマスツリー、ログハウス、パズル、モルック、輪投げなど、参加者が協力して作品作りに取り組みました。
10月末に行われた事前研修で、班ごとに作るものを相談してまとめた計画書を元に、ねばのもりのスタッフが丸太や竹といった大きな材料を調達していました。しかし、用意された大きな丸太をノコギリで小さく切る作業は、使い慣れていない人にとっては難しい工程で、班内で役割分担や交代をしながら製作を進めました。

さらに、製作の途中で細かい材料を調達するため、山に詳しい村民ガイドと共に山や川へ入り、松ぼっくり、どんぐり、石などの自然素材を採集しました。参加者は、森の豆知識や材料の扱い方のアドバイスを受けながら、いろいろな種類の素材を集めました。

事前に計画を立てていたものの、実際に材料に触れると「想像より硬い」「上手くいかない」など、想定外の課題に直面することも多く、その都度スタッフに相談したり、計画を練り直したりしながら、各班は時間内の完成を目指し工夫を凝らしました。

創造した遊びが結ぶ根羽学園との交流

2日目の朝は、製作した遊び道具の仕上げを行い、デモンストレーションをする班もありました。
そしていよいよ、根羽学園(義務教育学校)の1年生から9年生(小学1年生から中学3年生)と先生方が会場に来てくれました。イベントは、子どもたちと先生方が実際に遊んだ後、一番気に入ったコンテンツに投票するという形式で実施されました。
遊び方と投票についての説明が終わると、遊び開始です。合図と同時に、説明を聞きながら目的地を決めていて勢いよくダッシュする子もいれば、最初どこへ行くか迷っていた子どもたちも、社員の積極的な声かけに誘導され、次々と遊びの輪の中へ入っていきました。

複数の班のコンテンツをすべて制覇する勢いで遊ぶ子どももいれば、記録更新を目指して、順位が出るコンテンツ一つに集中して長時間遊び続ける子もいました。子どもたちは限られた時間の中で充実した時間を過ごし、「もっと遊びたい」という声も聞かれました。「全部面白くて決められない!」と悩みながら投票し、楽しい時間は終了となりました。短い時間でしたが、遊ぶうちに社員と子どもたちの距離は一気に縮まり、最後はハイタッチでお別れをしました。

交流が生んだ成果と学び

今回の研修は、製作物を目の前で実際に子ども達に使ってもらい、直接感想を聞くことで、新入社員にとって「使う相手のことを考える」重要性を学ぶ貴重な経験となりました。
一方、根羽学園の子どもたちも、普段関わることのない約90名の大人と遊べる非常に楽しい時間となったようです。このイベントがきっかけで、子どもたちの間で木工が流行し、現在は放課後子ども教室で週1回の木工教室が開設されています。
今回の研修で得られた気づきや反省点は、新入社員の業務への姿勢や、来年以降の企画のアップデートに活かされ、継続的な成果が期待されます。
取材・執筆:魚住奈都子